2019年5月18日(土)
Le Dernier Metro 1981年 フランス
トリュフォー、カトリーヌ・ドヌーヴ、ジェラール・ドパルデューという映画。
冒頭2018年にレストアされたという表記がでます。
ドヌーヴは1943年生まれなので、このころ37、8歳でしょうか。
とても不思議なパワーを感じます。
1942年9月のパリ、ドイツの支配下で11時以降は外出禁止。
終電車にいそぐ人々。
そんな中、モンマルトル劇場を経営するのがマリオン(カトリーヌ・ドヌーヴ)。
夫ルカ・シュタイナー(ハインツ・ベネント)は、ドイツのユダヤ人排除を避けるため、南米に逃げたと言って、実は地下室で生活している。
そこに新しく出演することになった新進の俳優グランジェ(ジェラール・ドパルデュー)。
女を口説きまくるが、実はレジスタンス活動もやっており、ナチ嫌い。
新しい舞台「消えた女」は俳優のジャン・ルー(ジャン・ポワレ)が演出、実はルカが地下から指示をだして演出を進めている。
管理人の息子は大麻を栽培し、舞台にも出る。
劇場の大道具係の彼女は、闇市の仕入れや、そして泥棒。
グランジェは劇場の蓄音機を持ち出して爆弾にし、衣装係のアルレッテと女優ナディアは抱き合う。
そんな中で、苦労して初演にこぎつけるマリオン。
ルカの手前、まったく緊張してない、と直前に食事やワイン。そしてトイレで吐く。
初日は大成功。しかし、ドイツ人の批評家ダクシア(ジャン・ルイ・リシャール)からは酷評される。
それに怒ったグランジェはレストランで一緒になった彼に迫り、マリオンに謝るように強要。
一方的に殴る。
それを嫌ったマリオンはグランジェとは話もしなくなるが、舞台は続く・・・。
いろんな要素が詰まっているけれど、一番はドイツに支配されたパリ市民の気持ち、ということでしょうか。
これほど水と油関係の国民って、ないんじゃないかなぁ。
ひとつの典型として描かれるグランジェは、冒頭から街中で女性を口説き、レジスタンス活動に身を染め、ドイツ軍人たちのいるクラブではコートも預けない。
批評家とは握手もせず、決闘さえ申し込む。
また、最後の方で、劇場がドイツ軍の手に渡るのをやめるよう便宜をはかろうと行った軍本部で、別の軍人(片腕)から強く手を握られるマリオンの、とてもいやな雰囲気。
それでも1944年6月のノルマンディーがきて、英国軍の飛行機が飛ぶようになり、パリは解放される。
アメリカがつくる反ナチの物語がどこか他人事なのに対して、フランス映画の反ナチ映画は、生活を踏みにじられた感情が詰まっている気がします。
そして、それはグランジェのように直情的に表現する者もいるのですが、主人公のマリオンが体現する、気丈だけど心は2つに分かれている、ということがフランス人の心情を表わしているのかもしれません。
ラストのドヌーヴの笑顔が印象的でした。
監督フランソワ・トリュフォー
製作フランソワ・トリュフォー
脚本フランソワ・トリュフォー 、 シュザンヌ・シフマン
台詞フランソワ・トリュフォー 、 シュザンヌ・シフマン 、 ジャン・クロード・グランベルグ
撮影ネストール・アルメンドロス
音楽ジョルジュ・ドルリュー
美術ジャン・ピエール・コユ・スヴェルコ
編集マルティーヌ・バラーク 、 マリー・エーメ・デブリル 、 ジャン・フランソワ・ジル
●出演
Marion Steinerカトリーヌ・ドヌーヴ
Bernard Grangerジェラール・ドパルデュー
Jean Loup Cottinsジャン・ポワレ
Lucasハインツ・ベネント
Arletteアンドレア・フェレオル
Nadineサビーヌ・オードパン
Daxiatジャン・ルイ・リシャール
Raymondモーリス・リッシュ
※データはmovie walkerです。