2019年4月13日(土)
The Hunter 1980年 アメリカ
マクィーンの遺作だったんですね。
あと、シカゴのマリーナ・シティ駐車場から河に車が飛び込むのは、この映画でした。
主人公は実在のバウンティハンター(賞金稼ぎ)ラルフ・パパ・ソーソン(スティーブ・マクィーン)。
この映画、80年代ものだからって言ってしまえばそうなんですが、
なんとなく不思議な味のする映画ですね。
冒頭、黒人街でポンコツ車を路駐させるのにキャデラックにボコボコあてて、Sorryで済ます貫禄。
バーに入っていって、若いにいちゃんを捕まえる。
警察にいくと署長はシェリフ(ベン・ジョンソン)。
現代に生きるシェリフとバウンティハンターの対面。
つまり、この時代でもやや前時代的な物語だったのかも。
甥だから見逃して街を出ていけとシェリフに言われた直後に、
捕まえに行って大乱闘の末、捕まえて金を手にするパパ・ソーソン。
それもスタンガンでやっとのことで倒して、危ないところ。
こんな調子で、命知らずなのか、ベテランの勘なのか、次々とお尋ね者を捕まえにいく。
ネブラスカのブランチ兄弟との捕り物は傑作。
空港で借りた新車のトランザムで兄弟の家に行くと、いきなりトランザムを乗っ取られて轢かれそうになる。
トウモロコシ畑での、トラクターとトランザムのチェイスが空撮でTVゲームのように面白い。
オチ(ダイナマイト)も笑える。
家には保釈になった奴らが毎日のように集まってポーカー。
同棲している教師のドーティ(キャスリン・ハロルド)は間もなく出産予定。
パパがほんとにパパになる予定。
馴染みの警官スポックの自殺とか、恨みを持つ男メイソンからの脅迫とか、
けっこう暗め展開もあって、このあたりもちょっと不思議な印象です。
高額の獲物を提示されたパパは、シカゴに向かい、ここでビルや街を走り、地下鉄でパンタグラフにぶら下がり、
カーチェイスをして冒頭の河へのダイビング場面になるわけですね。
ただのアクション映画ではない。
あえて外しているような印象さえあります。
もちろん、本人が肺がんのためにアクションがきつかったというのもあるでしょう。
でもなんとなく変な場面が多いのですね。
警察が大騒ぎしてマンションを囲んだ結末は、黄色いスーツを決め込んで優雅に出てくる黒人の男。
スナイパーも呆然ですね。
冒頭、シェリフの甥ビリー・ジョーを捕まえに川上の家で一緒にいたのは、まだ幼い感じの少女。
捕まえにいったときにはベッドインしてました。
この少女が口汚く「そいつ(ソーソンのこと)を殺せ」とののしるんですね。
ソーソンは古いブリキのおもちゃみたいなのが好き。
家にコレクションがある。
「古いものが好き、新しいものになり味がある」といセリフもあります。
ドーティに言われて、ラマーズ法の教室に通う。
しかし、ほんとは子供を産んでほしいとは思っていない。
「世の中腐ってる。生まれてくる子供が可哀そうだ」というパパ。
ここが教師であるドーティと全く合わないところ。
ドーティとの生活のため、8000ドルの仕事でシカゴへ。
そこで、賞金首のベルナルドを追いかけてシカゴを走り、地下鉄(ほとんど地上ですけど)の屋根に上り、
パンタグラフで宙づりになり、レッカー車で追いかけ、ここでも高級車にこすってしまいにらまれる。
そして最後はドーティを人質に取られて、夜の学校へ。
一番不思議な場面は、病院に駆け込んだパパが、
受付の前で大の字に倒れている場面。
ここがななんだか、とてもいい感じなんですね。
アクション映画としてはいい出来ではないだろうし、
コメディにしては暗めのエピソードが多い。
家族愛物語にしては、それ以外の時間が長いし、タフマンの活躍物語でもない。
ある男のしんどい日常、って感じでしょうか。
だからきっと、なんとなく好きなんですね。
シカゴでの追っかけ劇のとき、年を取ったからマクィーンの走りがキツそうなのかなぁ、と思っていたのですが、
もしかしたら肺ガンの影響もあったのでしょうか。
あのつらそうな走りが妙に目に焼き付いてます。
監督バズ・クリーク
製作モート・エンゲルバーグ
原案クリストファー・キーン
脚本テッド・レイトン 、 ピーター・ハイアムズ
撮影フレッド・コーネカンプ
音楽ミシェル・ルグラン
美術ロン・ホッブス
編集ロバート・L・ウォルフ
●出演
Papa_Thorsonスティーヴ・マックイーン
Ritchie_Blumenthalイーライ・ウォラック
Dottyキャスリン・ハロルド
Tommy_Priceレヴァー・バートン
Sheriff_Johnベン・ジョンソン
Spotaリチャード・ヴェンチャー
Rocco_Masonトレイシー・ウォルター
BernardoTom Rosales
Winston_BlueTheodore Wilson
※データはmovie walkerです。