2019年1月2日(水)
Marie Antoinette 2007年 アメリカ フランス 日本
絢爛たる衣装と室内装飾の世界に現代のポップミュージック。
あるいは、格式ばった王室の中での、よそ者(オーストリア女)としての異端性。
お話としても、非常に軽やかにマリー・アントワネットの世界を描く。
政略結婚の夫を「子供みたい」と評し、より高位のものが着替えを担当するというしきたりに「ばかみたい」と言う。
王の愛人デュ・バリュー夫人には一言も話さず、オペラには(本来しないという)拍手をして周りを引き込む。
世継ぎを待望され続けて、夫は錠前が趣味、狩りに出かけるばかりで夜はさっぱり。
自国の母や兄からも、周りすべてから世継ぎを、というプレッシャー。
英国との関係性からアメリカの革命を助けるために資金をつぎ込み、
結果的に市民の怒りを抑えられず、バスチーユ監獄が襲撃され、ベルサイユへ人民がなだれ込む。
王も王女も逃げず、処刑されていく。
そういう歴史の大きな圧力には力を入れずに、
日々の生活や、おしゃべり、食事、パーティ、スウェーデン伯爵との浮気などを軽やかに描きます。
貧窮する人民に、ケーキを食べればいい、と言ったということすら虚言と示唆していたり。
衣装や建物、内装が本物の重厚さなので、
そのギャップが、どうも気持ちの悪い感じなんですね。
キルスティン・ダンストもかろやかで実にいい感じなのですが。
もちろん、服、髪型、靴、帽子などは実に美しいです。
鳥を入れ込んだ盛髪などは、滑稽ですらありますが、それはその美しさ。
当時の世界の中に、現代の女性の感覚を盛り込む。
つまり、本質はそんなに変わらないということでしょうか。
それがこの映画の独特さでしょうね。
監督ソフィア・コッポラ
製作ロス・ケイツ 、 ソフィア・コッポラ
共同製作カラム・グリーン
製作総指揮フレッド・ルース 、 フランシス・フォード・コッポラ
原作アントニア・フレイザー
脚本ソフィア・コッポラ
衣装デザインミレーナ・カノネロ
音楽プロデューサーブライアン・レイツェル
編集サラ・フラック
字幕翻訳松浦美奈
プロダクション・デザインK・K・バーレット
撮影監督ランス・アコード
●出演者
マリ・アントワネットキルスティン・ダンスト
ルイ16世 ジェイソン・シュワルツマン
デュ・バリ夫人アーシア・アルジェント
マリア・テレジア女帝マリアンヌ・フェイスフル
ノアイユ伯爵夫人ジュディ・デイヴィス
ルイ15世 リップ・トーン
メルシ伯爵スティーヴ・クーガン
フェルゼン伯爵ジェイミー・ドーナン
ポリニャック公爵夫人ローズ・バーン
シャル公爵夫人オロール・クレマン
ソフィ内親王シャーリー・ヘンダーソン
ヴィクトワル内親王モリー・シャノン
ヨゼフ2世ダニー・ヒューストン
プロヴァンス伯爵夫人クレメンティーヌ・ポアダッツ
※データはmovie walkerです。