2018年2月12日(日)
クロックワークス 2017年
とてもよく出来ていると感じます。
ラストに向かって、十和子(蒼井優)の抱えた過去が一気に展開していくところ。
そしてそれが充分に映画的な表現になっているところ。
男と女の視点では、観方が違うかもしれませんが、
私の眼には、十和子が引き寄せる男に対する、隙のようなもののドラマに見えました。
性格悪くクレームを言い続ける十和子。
自分にべったりの陣治(阿部サダヲ)に好き勝手をする十和子。
黒崎(竹之内豊か)の言いなりになって、金や体を提供する十和子。
姉の忠告を聞かないようにして、自分の世界に逃げる十和子。
表面を糊塗して、ただ女をあさる水島(松坂桃李)に、ずるずるとはまっていく十和子。
そして、大切な場面を封印してしまう十和子。
少しずつ、十和子の生きてきた過去が見えてくる。
それが、最後に、十和子にもはっきりと浮き上がってくるという展開が見事です。
そんな中で、ちょっとだけ違和感があるのは、
百貨店の時計売り場店長?の水島が、あまりに無防備にことに及ぶ点です。
その違和感は、おそらく水島のような人種は、十和子のような女には本能的に近づかないのではないか、ということなのですが。
だからある意味、蒼井優がこの十和子で良かったのかどうかという事にもなるのですが。
あそこでああいう展開になっていくためには、十和子というのは、もうちょっと普通で、ぱっと見はかわいくて・・という存在に思えます。
それと蒼井優の存在感が、なんとなくずれている気がするんですね。
あと、この電車での場面の意味がどういうことを描こうとしているのかがよくわかりませんでした。
陣治の内面がポロリと出たということかな。
でもとても力のある作品で、満足感は高いです。
監督白石和彌
プロデューサー深瀬和美 、 山本晃久 、 西口典子
原作沼田まほかる
脚本浅野妙子
企画西口典子
撮影灰原隆裕
音楽大間々昂
美術今村力
編集加藤ひとみ
録音浦田和治
エグゼクティブプロデューサー藤本款
ヘアメイク有路涼子
助監督茂木克仁
照明舟橋正生
衣裳高橋さやか
●出演
北原十和子蒼井優
佐野陣治阿部サダヲ
水島真松坂桃李
國枝カヨ村川絵梨
酒田赤堀雅秋
野々山美鈴赤澤ムック
國枝中嶋しゅう
黒崎俊一竹野内豊
※データはmovie walkerです。