2017年6月11日(日)
牯嶺街少年殺人事件 1991年 台湾
名画の誉れ高い、エドワード・ヤンの長編作品を、柏のキネマ旬報シアターで観ました。
4時間であるということと、4Kリマスターということ以外はほとんど何も知らない状態でみたのですが。
まず、慣れ親しんだハリウッド・娯楽映画とはまったく違う文法で描かれているわけですね。
4時間という長さの中で、充分に描かれる小四(チャン・チェン)の周りの人々。
1959年の夏から始まって1960年の事件、1961年の判決そして15年後のエピソード。
台湾での中国からの移民、日本の影響。
特に頻繁に登場する自宅が、日本式の家というのがとても不思議な印象です。
そういえば、物売りの流す音楽が「潮来笠」(たしか橋幸夫のデビュー曲)だったような気がします。
押入れがあって、襖絵があり、押入れを2段ベッドにして寝ている主人公。
父は広州から上海に移り、家族で台湾にきたことがわかる。
天井裏に日本軍人が隠した日本刀があるという友人。
ハニーという、不良仲間の頭が、街に戻ってくる。
小明シャオミン(リサ・ヤン)の取り合いで、217との争い。
その小明への恋心をもつ小四。
映画の撮影所、監督、学校での悪さと呼び出される父親。
帰りの道すがら、自転車を引きながら父と話す小四。
「女は面倒な存在だ」父さん、渋いですね。
雑貨屋の趙さんをレンガでなぐろうとしていたのに、
酔って用水路に落ちたところを助けることになる小四。
台風の日、ヤクザとの一団で217を襲う。
この大雨と夜の停電の中での襲撃の迫力。
父は警察に連行され、尋問を受ける。
翌朝、廊下にたくさん並べられる氷の塊。昔の日常。
戦車の列の脇を歩きながら話す風景。
結局夜間部も退学となり、
一人勉強に励む小四も、小明への想いはつのる。
いつの間にか、金持ちの友人・小馬の家に住み込んだ小明と母。
小明は小馬の彼女になってしまい、小四には耐えられない。
プレスリーや、ロカビリーのコンサート風景も、なんとなく日本に重なり、
日常が日本のパラレルワールドのように流れながら、小明を殺してしまう小四。
1960年前後の空気が、日本のようで日本でない日常が不思議に流れていきます。
監督エドワード・ヤン
脚本エドワード・ヤン 、 ヤン・ホンヤー 、 ヤン・シュンチン 、 ライ・ミンタン
製作総指揮チャン・ホンジー
製作ユー・ウェイエン
撮影チャン・ホイゴン
美術エドワード・ヤン 、 ユー・ウェイエン
音楽監修チャン・ホンダ
録音ドゥ・ドゥチー
編集チェン・ポーエン
字幕田村志津枝
●出演者
Xiao_Sirチャン・チェン
Mingリサ・ヤン
Fatherチャン・クオチュー
Motherエレイン・ジン
Eldest_Sisterワン・ジュエン
Elder_Brotherチャン・ハン
Middle_Sisterジャン・シウチョン
Youngest_Sisterライ・ファンユン
Catワン・チーザン
Airplaneクー・ユールン
Honeyリン・ホンミン
Maタン・チーガン
※データはmovie walkerです。