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山の音(1954)

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2017年6月11日(日)
THE ECHO 1954年 東宝

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誰の目線かというと、老夫婦の夫・尾形信吾(山村聡)なんでしょうね。
川端康成の原作を読んでいないので、わからないところもあるのですが、
自分の衰えと、それに反して高まる息子の嫁・菊子(原節子)への気持ち、というのが見どころでしょうか。

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戦争未亡人とか、堕落、という言葉とか、時代を感じるところもありますが、
女をつくる夫、それに復讐する妻、出戻りの娘、愛情を注げない実の子と嫁の対比、など
充分今にも通じるテーマと思います。

当時としても、いい家庭なんでしょうね。
たぶん会社の社長で、息子(上原謙)が同じ会社にいて、鎌倉の家では女中を雇うという様子。

それでも、妻であるおばあさんには口うるさく指図されて、
実の娘からも、育て方が悪いというような文句を言われて、子連れで出戻ってきて、
息子は外に女をつくって、毎晩遅くまで帰らない。

心のよりどころになっている息子の嫁が、流産して、実家に帰ってしまうという事件や、
息子の女に会いにいくと、別れたけれど子供ができたと言われて狼狽したり、
なかなか大変な日々なんですね。

おばあさんは呑気にいびきをかいて寝ているし、
起きれば、あんたが何もしないから、息子は浮気をするし、娘は戻ってくるんだ、というように言われる。

これを見てると、つい何勝手なことばかり言っているんだ!と逆ギレしそうです。

ラストで新宿御苑の「ビスタ(見通し線っていってますね)」に感心しながら、話す信吾と菊子はやはり心がつながっていますね。

イメージ 3

それにしても、原節子ってこんな役が多いのでしょうか。
小津作品、特に東京物語でも、耐える嫁みたいなイメージですし。
特に今回は、お産の時難産だったのでついたという額の傷(カギでついたと言ってます)とか、鼻血を出してうずくまるとか、やや暗いイメージです。
それが、なんだかちょっと意外な感じに見えるのは、こちらの意識の問題でしょうか。

夜の台風とか、停電とかちょっと懐かしいです。

信州に帰る老夫婦、今ではそんなカタのつけ方は難しいですよね。
老後問題がまだ深刻化する前、日本はこんな感じでした、ということですね。

やはりその時にはその時のややこしさがあった、というわけです。

監督成瀬巳喜男
脚色水木洋子
原作川端康成
製作藤本真澄
撮影玉井正夫
美術中古智
音楽齋藤一郎
録音下永尚
照明石井長四郎
編集大井英史
製作担当者馬場和夫
チーフ助監督筧正典
助監督梶田興治
●出演者
尾形信吾山村聡
尾形保子長岡輝子
尾形修一上原謙
尾形菊子原節子
相原房子中北千枝子
娘里子斎藤史子
谷崎英子杉葉子
絹子角梨枝子
池田丹阿弥谷津子
相原金子信雄

※データはmovie walkerです。

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