2015年8月23日(日)
J. Edgar 2011年 アメリカ
FBI長官のフーバーの物語ですね。
こういった実在の人物を映画にする場合、何をテーマにするかが難しいところです。
もちろん単純なテーマにはできないので、たいていの場合は本人の並外れた努力や能力で素晴らしい実績を上げる一方で、困難な事態や反対者に会い、苦労した挙句にそれを乗り越える、というものが多い気がします。
問題なのは、実在の人物の場合、ドラマチックな描写になればなるほど、リアリティの問題(視点と言ってもいいでしょう)が出てきて、どこか中途半端だったり真実味が欠けたりすることです。
この映画でも、フーバーという人物の複雑さと業績の関係を描こうとしたと思いますが、好意的に見るのか否かがどうもはっきりしなくて、見る側は自分のポジションを見失います。
リンドバーグ事件などはアメリカでは皆が知っているものでしょうし、ラジオ・テレビ番組などでFBIがもてはやされたことがあったことから、そういう面では歴史の裏側的な面も持っているのでしょう。
キング牧師のくだりやロバート・ケネディなどとのやり取り、盗聴をしかけるあたりなどかなり黒い側面があるし、ホモ・セクシュアル的な描写も入っていて、もうちょっと描きたいことを絞ってもいいのではないかと感じます。
あと、老人メイクがどうもうまくいってないように見えるのはなぜでしょう。
メイクだけでなく、年老いた時は声も変わっていくのですが、声が若いままなのでこれも白ける要因になります。
ライティングも全体に暗くて、リンドバーグの息子発見のところなど、最初ほとんどわからなかったりして、どうも意図が見えにくい気がしました。
それにしても、FBIという組織を今のように大きくした元祖、そういうことだったのかという驚きと、シークレットファイルで身を守るという感覚が、きっと今でも続いているという怖さに改めて気づく映画ではありました。
監督クリント・イーストウッド
脚本ダスティン・ランス・ブラック
製作総指揮ティム・ムーア 、 エリカ・ハギンズ
製作クリント・イーストウッド 、 ブライアン・グレイザー 、 ロバート・ロレンツ
撮影トム・スターン
美術ジェームズ・J・ムラカミ
音楽クリント・イーストウッド
編集ジョエル・コックス 、 ゲイリー・D・ローチ
衣裳デザインデボラ・ホッパー
●出演者
ジョン・エドガー・フーヴァーレオナルド・ディカプリオ
ヘレン・ギャンディナオミ・ワッツ
クライド・トルソンアーミー・ハマー
チャールズ・リンドバーグジョシュ・ルーカス
アンナ・マリージュディ・デンチ
エージェント・スミスエド・ウェストウィック
リーラ・ロジャースリー・トンプソン
ロバート・F・ケネディジェフリー・ドノヴァン
アーサー・コーラースティーヴン・ルート
ブルーノ・ハウプトマンデイモン・ヘリマン
エージェント・ギャリソンマイルズ・フィッシャー
ミッチェル・パーマージェフ・ピアソン
ハーラン・F・ストーンケン・ハワード
エージェント・シスクリー・ココ
※データはmovie walkerです。