2019年4月28日(日)
THE FAVOURITE 2018年 アイルランド=アメリカ=イギリス
18世紀のイングランド、アン女王の物語なのですね。
メインストーリーとしては、アン女王(オリヴィア・コールマン)の政治的な無能と、それを操る幼馴染のサラ(レイチェル・ワイズ)。
フランスとの戦争が泥沼に入っていく中で、戦争をやめさせるか、続けるかの男たちの政治家の駆け引き。
そんな中にやってくるサラの従妹アビゲイル(エマ・ストーン)が女中からのし上がっていき、
サラを蹴落としてアン女王の寵愛を受けて、貴族の仲間入りをしていく。
八章仕立てになってます。
その1 ここの泥は臭い
その2 思い違いや不慮の事故が怖い
その3 何という装い
その4 ささいな障害
その5 居眠りして滑り落ちたら
その6 化膿を止める
その7 それは残して、気に入ってる
その8 夢に見た。あなたの目を刺すのを
女の世界、しかも権力を握った女たちの世界の争いを描いたものです。
いや、正確にいうと、権力を持つアン女王は政治に疎く、それを補佐するサラは男勝りの政治好き。
そして、それを利用しつつ蹴落とすアビゲイルは、政治には興味なく、下流の生活に戻ることの嫌悪から、上流社会にのし上がりたいと考える女。
別に女の世界だから特別、ということでもないでしょう。
男でもまったく同じ構図はできそうですし、実際にあるんでしょう。
ただ、女性という枠組みで描かれると、華やかさと現実の落差が大きい分、わかりやすいし面白いことは確か。
まわりのおろおろ感も一層引き立ちます。
そんな3人の女を中心に、貴族階級のものたちのお気楽な社会と、厳格な身分制、カツラに象徴される政治の空虚さ、随所にみられる性的なばかばかしいやりとり、などアイロニカルな内容満載です。
でも、きっとこんなもので、いや、現在もきっとこんなもので、男女にかかわらず、いろんな抗争やいじめや成り上がりが満載のものが世の中で、それを見事に映し出しているといっていいのでしょう。
それよりも、自然光やろうそくの光で撮った画像や、魚眼レンズなどの多用、カットバックをせずに一台の振り回しでとる、など普通の映画とはあきらに違う映像が心地よく、アップ画像が下からのあおりであることも含め、独特の表情を伝えます。
だから、もうちょっとお話にもひねりがあっても良かったような気がします。
大奥とかそんな世界を凝った映像で見せられたような印象でした。
監督ヨルゴス・ランティモス
脚本デボラ・ディヴィス 、 トニー・マクナマラ
衣裳サンディ・パウエル
撮影監督ロビー・ライアン
●出演
Abigail Mashamエマ・ストーン
Sarah Churchillレイチェル・ワイズ
Queen Anneオリヴィア・コールマン
Robert Harleyニコラス・ホルト
Mashamジョー・アルウィン
※データはmovie walkerです。