Quantcast
Channel: いまごろこの映画?
Viewing all articles
Browse latest Browse all 788

ブリッジ・オブ・スパイ(2015)

$
0
0
2019年4月6日(土)
BRIDGE OF SPIES 2015年 アメリカ/ドイツ/インド
イメージ 1

1957年の、事実に基づくという物語。

ある弁護士が、担当したソ連のスパイ・アベル(マーク・ライランス)の弁護裁判。
アメリカ中が極刑を要求する中で、スパイであろうとも正当な弁護を貫くドノバン(トム・ハンクス)。
自宅に銃弾を受け、警官からも脅されるような扱い。

弁護士事務所でも仕事を干され、家族からも反対される。
奥さん(エイミー・ライアン)が食事のお祈りで、手を握りたがらない場面が象徴的に描かれてますが。

イメージ 2

このころのソ連との冷戦状況は、核爆弾の開発競争とU-2などの新型兵器によるもの。
この映画でも、ドノバンの息子が小学校の授業で核爆弾の恐怖を吹き込まれ、
自宅のバスルームに水を貯めるという場面が出てきます。

そんな中、判事さえも問答無用でスパイを有罪、死刑にしようという流れの中で、
罪人でも権利を守るのがアメリカのルール、憲法を守るべきと頑張るのがドノバン。
その過程で、生かしておけばスパイ交換などの可能性もある、と発言していきます。

並行して描かれるのは、新兵器U-2で超高度から敵地を撮影するという任務。
そしてそのうちの一人ゲイリー・パワーズ(オースティン・ストウェル)が、ソ連で撃墜され捕虜になります。

彼の主張がとおり、なんとか死刑はまぬかれたアベルとは、気持ちが通じ合ってきているドノバン。
今度はソ連との捕虜交換を国からの依頼で、民間人として行うという難しい任務が与えられます。

この描写に先立って、ベルリンが東西に分裂、まさに壁が建てられようしているときです。
アメリカの留学生フレデリック・プライヤー(ウィル・ロジャース)が東側にいて帰れなくなるという事態が発生します。

イメージ 3

ソ連との交渉はゲイリー・パワーズとアベルの交換。
そこに学生のプライヤーも一緒に交換、という話になってくる。
ところがソ連と東ベルリンは別統治。交渉は困難を極めていく・・・。

さすがにスピルバーグ、複雑な内容でもまったく飽きさせないまま、緊張の東ベルリンへとクライマックスまで一直線。

東ベルリンのホテルの寒々しい様子や、たった一人で交渉に臨むドノバンが、街を歩いていてチンピラにコートを奪われる場面など、フィクションとはいえ、とても緊迫した空気が伝わってきます。

我々は1991年のベルリンの壁崩壊を見ているわけですが、その建設は見ていない。
この映画にはまさにその場面が出てきます。1961年ごろでしょうか。
ドノバンが交渉のために乗る電車の窓から、壁を乗り越えようとするものが撃たれるところを見るという場面も出てきます。

ここで思うのは、トランプがしきり言っているメキシコとの壁ですね。
アメリカが行おうとしている壁の建設が、ここに重なってみえてきます。

ソ連と東ドイツ、そしてアメリカという3国の思惑が入り乱れたスパイの交換劇。
それがたった一人の民間人弁護士に委託されたというのが驚きです。
もちろんCIAが近くまで同行しているのですけれど、それにしても。

映画としても、物語としてもとてもよく出来ていて、感動的です。
トム・ハンクスもとてもいいです。
スパイ役のマーク・ライランスも素晴らしいですね。

ただ、割り切れない思いが残るのは、なぜドノバンがあそこまでアベルを擁護したのか、ということです。
その時点ではアメリカ人捕虜との交換が想定されたわれではなかった。
だからそれは、ドノバンの信念からでたもの、というのがこの映画の描き方です。

そこが今一つわかりにくいんですね。

あと、東ベルリンが必要以上にひどく描かれていないでしょうか。
まあしょうがないといえばしょうがないですけど。
アメリカだってひどい事をたくさんしているはずで。

そんなところがひっかかって、最後はスッキリ、とはいきませんでした。残念。

監督スティーヴン・スピルバーグ
製作マーク・プラット 、 スティーヴン・スピルバーグ
製作総指揮ジョナサン・キング 、 ダニエル・ルピ 、 ジェフ・スコール 、 アダム・ソムナー
脚本ジョエル・コーエン 、 イーサン・コーエン
撮影ヤヌス・カミンスキー
衣裳デザインカシア・ワリッカ=メイモン
音楽トーマス・ニューマン
編集マイケル・カーン
キャスティングエレン・ルイス
プロダクション・デザインアダム・ストックハウゼン
●出演
ジェームズ・ドノバントム・ハンクス
Allen Dullesピーター・マクロビー
Thomas Wattersアラン・アルダ
Jan Donovanイヴ・ヒューソン
Mary Donovanエイミー・ライアン
Francis Gary Powersオースティン・ストウェル
Rudolf Abelマーク・ライランス
Wolfgang Vogelゼバスチャン・コッホ
Hoffmanスコット・シェパード
Frederic Pryorウィル・ロジャース

※データはmovie walkerです。

Viewing all articles
Browse latest Browse all 788

Trending Articles