2019年2月9日(土)
クロックワークス 2013年
amazon primeで観たのですが、噂はきいておりました。
出演陣が凄いですよね。
そして内容がまたすごい。
やっぱり少し舞台風味が残ってはいますが、
それにしてもかなり大胆な内容に驚きました。
私は舞台の方はみていないので、その比較はできないのですが、
印象として映画と舞台の一番の違いは、
映画の方がよりリアルな描き方をしないと、
ぜんぜん本物っぽくならない、ということではないでしょうか。
逆のいい方をすれば、舞台は観るほうの想像力を掻き立てるつくりになっているわけですよね。
(以下ネタバレありますのでご注意ください)
そういう意味でいうと、映画で一番リアル感が溢れていたのは、
窪塚洋介の店員、でしょうか。
主人公っぽい位置の二人、池松壮亮と門脇麦が、まあちょっと引きこもり系のキャラですが、
この二人が最後までひっぱるんですよね。
池松壮亮は、このあともこういう物静かで少しこだわりのある若者をよくやるし、やっぱりうまいのです。
一方の門脇麦ですけど、この映画はかなり凄いキャラですね。
映画の中の女子大生もギャップの激しさでメンバーをびっくりさせますが、
役者としてもけっこう、もっていってしまってますね。
滝藤賢一も新井浩文も、ある意味期待どおりの感じですが、
これまた意外だったのは、童貞役の駒木根隆介。サイタマノラッパーですね。
他の女優さんたちについては、全然知識がないのでコメントには至りませんが、
3人ともはっきりしたキャラクタの違いが見どころです。
そして中盤に登場するカップルが、最高に笑えます。
柄本時生と信江勇なんですが、この二人が登場することで、
「誰とやるかあるいはやらないか」ということの意味を、明確に意識することになります。
その気持ちは、もちろん個人によってグラデーションがついています。
それば、柄本時生が発する「高度なギャグだろうが」という言葉に象徴されるものなんですね。
男女がその時だけという了解のもとに集まって、自由に相手を選ぶという形。
しかし、そうだからこそ、誰を選ぶか、あるいは誰を選ばないかというボーダーが自然と強調される。
映画では、誰を選ばせないか、というところにもそれが現れてきます。
もう一つ、誰しも自分が選ばれないとは考えていない、ということがこれまた自ずと浮き彫りになります。
よもや自分が選ばれないとは。その現実。
加えていうならば、自分が選ばれてしまう恐怖。
池松壮亮が信江勇に選ばれて、どうしようもなく下の階にいってしまうような場面。
あそこはとても秀逸だと思います。
であるが故にですが、違和感があるのは、
店員・窪塚のスマホにくる赤ちゃんの写真であり、
池松壮亮と門脇麦の二人の思わせぶりなラストです。
常連と店長の関係とかもあまり説明がない方が良かったようにも感じます。
そういう意味では、若者二人にちょっと視点が寄りすぎていたようにも思います。
サラリーマン、とガテン系、童貞デブ、保育士、OLにそれぞれどんなドラマがあるか、
もうちょっとにおわせてもらいたかったのです。
いやそれではかえって散漫になるでしょうか。
監督三浦大輔
製作間宮登良松 、 藤本款
プロデューサー岡田真 、 木村俊樹
原作三浦大輔
脚本三浦大輔
企画加藤和夫
撮影早坂伸
音楽海田庄吾
音楽プロデューサー津島玄一
企画協力太田雄子
美術露木恵美子
編集堀善介
録音永口靖
キャスティングおおずさわこ
照明神谷信人
ライン・プロデューサー坂井正徳
●出演者
ニート池松壮亮
女子大生門脇麦
サラリーマン滝藤賢一
保育士中村映里子
フリーター新井浩文
OL三津谷葉子
童貞駒木根隆介
常連赤堀セリ
カップル柄本時生
カップル信江勇
店員窪塚洋介
店長田中哲司
※データはmovie walkerです。