2018年8月15日(水)
America America 1963年 アメリカ
エリア・カザンの語りで始まる。
私の名はエリア・カザン 血はギリシア、生地はトルコ、おじから聞いた話、アルメニア人がアメリカ人になった。
トルコで、弾圧されていたギリシア人やアルメニア人の中から、なんとか首都コンスタンチノープル、そしてアメリカに行こうとする若者の物語。
だから、スコセッシ監督が描くシチリア人のアメリカ入植話と同じ系譜と思っていいのかもしれない。
弾圧されるギリシア人、それよりもひどいアルメニア人。
1896年、山で氷を掘ってリヤカーに積み、市場で売る生活。
トルコ軍に嫌がらせをされるが、友人のアルメニア人ヴァルタンがたまたまそこの士官と従軍で一緒だったことで許される。
教会が焼き討ちにあい、ヴァルタンが勇敢に抵抗して皆を助ける。
スタヴラスは父イサークの人脈でなんとか助かる。
スタヴラスはアメリカ行きのお金を得ようと祖母のところへ。
祖母はお前の祖父は勇敢だったが、父親は腰抜けでその息子は分をわきまえろと言われるが、じいさんのナイフをもらう。
遠い地から歩いてアメリカを目指す若者ホハネスに自分の靴をあげるスタヴロス。
父親にアメリカ行きを願い出て、一族の財産(といっても母の嫁入り道具、形見の衣装とか装身具)や、なけなしのお金を縫い込んだコートで、はるか首都をめざす。
母親は、パンの買い物にも心配なのに、と泣く。
途中で会う、トルコ人アブダルの口車に乗せられ、たかられて持ち物をどんどん失くしてスタヴロス。
この、世間知らずの田舎者と、調子のいい詐欺師みたいな物語って、ほんとにハラハラしますよね。
法廷に出ても、逆にこちらが泥棒のように言われ、すべてを失ってしまう。
そこからも苦労の連続。
親戚のカーペット屋は客のあまりこない店。財産を持ってきてないと知ると、あからさまに冷たくなる。
なんとか金持ちの娘と結婚させようとするけれど、断り、港の重労働を続けるスタヴロス。
アメリカまで110トルコリラが必要。
アメリカ、アメリカと言っているので周りから「アメリカアメリカ野郎」と言われる。
働き続けても4リラしか貯まらない。
仲間に諭される「必要なのはビッグマネーだ。でかい金はなぜか増えていく」。
しかも周りの現場仲間につれられていった娼館で、全財産女に盗まれる。
中の良かった現場仲間は革命のアジテーターで、集会に行った夜警察隊に襲われて、重症。
どうせ死ぬと言われて、馬車の荷台に死体と積まれたが、上り坂で荷台から転げ落ちて目を盗んで逃げだす。
またいとこの店に戻り、本格的に金持ちの娘を狙う。
持参金が110トルコリラの娘。
妻は何もはなしてくれないスタヴロスを怖いという。
印象的なエピソード。
「夢で子供を産んだ。お乳をあげようとしたら出ない。赤ちゃんがあなたに代わっていた。私を失望した目で見て離れていった。正夢なの?」
「そうだ。俺を信じるな」
アメリカ人の夫婦に取り込んで、アメリカの船に乗り込む。
8人1船室。アメリカにさえ着けば!
船ではアメリカ人夫婦の妻の部屋へ。それがばれて、送還されることに。
陸地、ロングアイランド、「アメリカだ、アメリカ、アメリカ!」
靴をあげた男、ホハネス。咳をしている。検疫では咳をするな、入国できない。
船上で新婚の二人のパーティ。
自分の妻とのキスを思い出す。
そこで、ホハネスは海に飛び降りる。替わりに入国を。
入管で「ジョー・アーネス」と名付けてもらい、生まれ変わった。
マンハッタンのフェリー。
靴磨きをして、お金を送り、少しずつ家族を呼びよせる。
そして、何年もかけ全員を呼んだ。
父だけは故郷で死んだ、というナレーションで終わります。
白黒で描かれる、民族の格差や、田舎と都会、そしてアメリカ。
アメリカの夢に賭けた若者の長い長い物語。
中身の濃い、そして確実に世界で同じような物語を経験した人たちの物語と感じました。
監督エリア・カザン
製作エリア・カザン
脚本エリア・カザン
撮影ハスケル・ウェクスラー
衣装デザインアンナ・ヒル・ジョンストン
音楽マノス・ハジダキス
編集デデ・アレン
プロダクション・デザインジーン・キャラハン
●出演者
Stavros_Topouzoglouスタチス・ヒアレリス
Vartan_Damadianフランク・ウォルフ
Isaac_Topouzoglouハリー・デイヴィス
Vasso_Topouzoglouエレナ・カラム
Grandmother_Topouzoglouエステル・ハムスレイ
Hohanness_Gardashianグレゴリー・ロザキス
Abdulルー・アントニオ
Odysseus TopouzoglouSalem Ludwig
Gaberetジョン・マーレイ
Thomna Sinnikoglouリンダ・マーシュ
※データはmovie walkerです。