2016年6月12日(日)
FAREWELL, MY LOVELY 1975年 アメリカ
チャンドラーの原作も、どうも人物の関係がわかりにくくて、
それが映画になっても、やっぱりわかりにくい。
それでも、大男のマロイとかうらぶれた感じのジェシー・フロリアン(シルヴィア・ミルズ)、
娼館の女主人アムサーなど、キャラクターがはっきりしていて、それっぽい感じが充分です。
そして何よりもグレイル夫人のシャーロット・ランプリングがいいですねぇ。
ちょっと前にNHKのドラマで「ロング・グッドバイ」をやってましたが、
この映画をお手本にしたところもあったのではないでしょうか。
(小雪がシャーロット・ランプリングと重なる気がしたので)
人がどんどん殺されていって、自身も危ない目に会うのですが、
そこはディマジオが連続ヒット記録をつくっている時代のロサンゼルス。
(ちなみに調べてみると、56打席連続安打は1941年です)
殺し屋の世界もまだ人間味があるような感じがしてます。
冒頭から、ナレーションがチャンドラーばりのハードボイルドタッチ。
自由の女神サイズの大男、とか、やっぱり古いタイプの男ね、と言われて「上半身は」と言ったり。
シニカルな表現やひねったジョークが満載で楽しめます。
映像も黒基調、夜のシーンも多く、音楽はけだるい感じのジャズ。
ロバート・アルトマンの「ロング・グッドバイ」は好きな映画の一つですが、
そのテーマ音楽もこの映画の影響があるのではないでしょうか。
ついでに言えば、「ロング・グッドバイ」では、チンピラの中にアーノルド・シュワルツェネッガーがいましたが、
この映画のチンピラにはシルベスター・スタローンがいますね。
後年のアクション大スターが二人ともチャンドラー映画のチンピラ役だったのは不思議な縁です。
この映画は終わり方もなかなか良くて、マーロウがなぜあれほど事件にのめりこんでいくのか、納得させてくれます。
惜しいのは、ロバート・ミッチャムがもう少し若ければ、ということなんですが。
監督ディック・リチャーズ
脚本デイヴィッド・ツェラグ・グッドマン
原作レイモンド・チャンドラー
製作総指揮エリオット・カストナー 、 ジェリー・ビック
製作ジョージ・パパス 、 ジェリー・ブラッカイマー
撮影ジョン・A・アロンゾ
音楽デイヴィッド・シャイア
編集ジョエル・コックス 、 ウォルター・トンプソン
●出演者
Philip_Marloweロバート・ミッチャム
Helen_Grayleシャーロット・ランプリング
Nultyジョン・アイアランド
Jessie_Florianシルヴィア・ミルズ
Brunetteアンソニー・ザーブ
Billyハリー・ディーン・スタントン
Mooseジャック・オハローラン
Nickジョー・スピネル
※データはmovie walkerです。