2019年3月10日(日)
1987: When the Day Comes 2017年 韓国
早稲田松竹で、「判決、二つの希望」との併映です。
事実を基にした近代史もの二本立てです。
1987年といえば、日本ではバブルに向かう浮かれ気味の世の中。
そんな時、隣国ではこのような大激震があったのですね。
雰囲気としては、日本でいうと60年代の安保闘争的な印象でしょうか。
冒頭から、1987年1月14日、と日付限定で始まります。
南営洞(ナミョンドン)に医師。
死亡した男を蘇生させろ、という命令です。
これが、ソウル大生を拷問していて死に至らしめたという事件の発端。
体制側はそれを闇に葬り、火葬で済ませようとする。
そこに反発する検事、マスコミ、反体制勢力・・・。
韓国映画では、ひどい拷問が描かれる場面がけっこうありますね。
「ペパーミント・キャンディー」とか「殺人の追憶」でもあった気がします。
酷さは日本でも同じなのかな。日本の戦前のイメージに近い気もします。
この映画は、登場人物も多く、展開もめまぐるしいので、やや混乱するところもあるのですが、
エンタテインメントとしての描かれ方がしっかりされているため、
物語としてわかりやすく描かれていると感じます。
その分、ちょっと甘いのでは?と思うところもありますけどね。
たとえば監獄の看守ハン・ビョンヨンが民主化運動家に情報を流している手伝いをする姪のヨナという娘。
(彼女のお母さんが、いかにも韓国のお母さんって感じの味があっていいんですけど)
結果的に、イ・ハニョルという活動家大学生との付き合いが絡んで、民主化運動に巻き込まれていくのです。
これがちょっとどうかなぁと。
終盤の教会に乗り込んでくるパク所長軍団と、逃げる民主化組織メンバーたちという場面も、
たとえばステンドグラス越しにみえる影とか、ちょっとどうかと感じたりもするのですけど。
これは「タクシー運転手」でも感じたことなんですけどね。
とはいえ、日本ではこういう「社会派」の劇映画をなかなかみなくなりました。
少し前まではけっこうあったように思うのですが、最近はドキュメンタリーだけになっている感があります。
エンタテインメントとしても観ることができる近代歴史もの、というものを期待したいところです。
あんまりそんなものを観たい人がいないのかなぁ。
監督チャン・ジュナン
●出演者
キム・ユンソク
ハ・ジョンウ
ユ・ヘジン
キム・テリ
ソル・ギョング
カン・ドンウォン
パク・ヘスン
イ・ヒジュン
ヨ・ジング
※データはmovie walkerです。