2018年8月19日(日)
Peppermint Candy 1999年 韓国/日本
90年代の香りというか、日本でいうとバブル崩壊後の感じというか、
少し前の日本映画のムードというか、ちょっと懐かしい気持ちのする映画です。
もちろん、それは好ましい方の感覚ですが。
線路が映って、先に走っているのかと思っていると、
さくらの花びらが逆に戻ったりするので、過去に向かっているというのがわかります。
そして少しずつ主人公の過去が描かれるしくみ。うまいです。
1999年、河原で20年ぶりのピクニック。変わってしまった友人たちのところに、ふらりと現れるヨンホ(ソル・ギョング)。
落ちぶれた自分を探して、橋の下のブルーシートハウスまで訪ねてきた男。
それはヨンホにペパーミント・キャンディーを送り続けた彼女スムニの夫でした。
危篤状態の彼女に、途中で買ったキャンディーのボトルを見せるヨンホ。
夫から渡されたカメラで、思い出す過去。
思い描いた生き方と、どこで違ってしまったのか。
それはすべて自分の選択だったのではないか。
「戻りたい」「帰りたい」と叫ぶヨンホ。
ずっと自分を思い続けてくれた女性スムニに対して、
自分が何をしてきたのかという記憶。
贈ってくれたペパーミントキャンディーをどうしていたのか。
戦争に踏みにじられ、好きではないものとして存在し続けたもの。
「人生は美しい?」
株やとして絶好調だったころのヨンホ。
奥さんの浮気、自分も社員の娘と浮気。
1984年警察の仕事と、食堂の娘。自転車を教える。
警察で尋問を担当させられた時のエピソード。
暴力がいやだったのが、急に自分の暴力性に気づかされる場面。
中で光州事件に関連した場面がでてきます。
1980年、軍隊に5回も面会に来るヨンホ。面会できないまま、緊急出動のトラックから一人とぼとぼ歩くスムニを見る。
彼女から送ってもらっていたキャンディーは、持ち出せず踏みにじられてしまっていました。
そして、光州でのデモ隊警備現場で、足を撃たれ、民間人の娘を助けられずにいるヨンホ。
1979年のピクニックが最後に描かれます。
冒頭と同じ場所、同じメンバー。
現在から過去へと流れる意識の時間をとてもうまく描いていると思います。
どこかで踏み違えた道。
これが誰にでもあることなので、余計に心に沁みるんですね。
自分でどうしようもなかったことと、なんとかできたんではないか、という事とないまぜになって。
監督イ・チャンドン
製作ミョン・ゲナム 、 上田信
脚本イ・チャンドン
撮影キム・ヒョング 、 ナ・スンヨン
音楽イ・ジェジン
美術パク・イルヒョン
編集キム・ヒョン
字幕深沢三子
翻訳根本理恵
●出演者
Yonghoソル・ギョング
Sunimムン・ソリ
Hongiaキム・ヨジン
キム・ソンシク刑事キム・ヒウォン
ノ・ジンサンキム・グァンギュ
ヤン刑事カン・ギョンホン
中年男性ヨム・ドンホン
警備警察キム・ヒチャン
ミッシーおばさんラ・ミラン
コ刑事コン・ユソク
キム・ビョンチョル
ペ・ソンウ
ソ・スンウォン
※データはmovie walkerです。