2017年1月3日(火)
Late Spring 1949年 松竹
小津監督がその後描く家庭劇の祖型となっているためか、
見慣れてしまっていますが、改めて見ると意外なところに気が付きます。
それは原節子の紀子が、なぜあんなに頑なに結婚を嫌がるのかがよくわからない、ということ。
今の感覚からかもしれませんが、再婚を「不潔」と言ったり、父の再婚相手を見てひどく暗い表情になったり。
もともと原節子という女優さんをそんなに好きでないこともありますが、
この映画の、父の再婚話になったときの彼女の表情は怖いくらいで、ちょっと嫌な感じさえします。
それが単なる父親への愛情の裏返し、ということであれば、すごく単純なお話になってしまうし、
かといって変に性的な裏読みをするほどのことでもないように思えるし。
なので今回は、なんだか宙ぶらりんな気持ちになりました。
あと、関係ないですが、思い出したというか、変に気になったところは、
・銀座でばったりあった紀子とおじさんが、上野に「第3回連合展」を観に行くというところ。
こんな風に美術展に行くというのが、日常的だったのでしょうか。
・同じく、服部に銀座のコンサートに誘われるが、紀子は行かない。それが巌本真理のバイオリンコンサート。この人有名な人だった。
・父とは能に行く。杜若(かきつばた)。
美術展とか、バイオリンコンサートとか、能。なんだかかなり風流な感じがします。
・たくあんがつながっているとヤキモチ焼きた、という話。
確かに昔そんなことをよく言ってたような気がする。理由はなんだろう?
・杉村春子が神社でがま口(この言い方も懐かしい)を拾って縁起がいいと、懐にしまう話
警官が歩いてくる、という結構あざとい場面です。
・同じく杉村春子が、相手の名前が熊太郎なので呼ぶのにこまる、クーちゃんがいい、という話
熊太郎さんではもじゃもじゃな感じ、熊さんでははっつぁん熊さんみたいだし、・・・という杉村春子が素晴らしい味。
・「平気」という言葉をよく使う。そういえば今はだいたい「大丈夫」というなぁ。
他にも、だいたい全編に音楽が入っているのも、意外でした。
多喜川も、その後の店とは感じがちょっと違いますね。
でもやっぱり笠智衆はいいなぁ。
監督小津安二郎
脚色野田高梧 、 小津安二郎
原作広津和郎
製作山本武
撮影厚田雄春
美術浜田辰雄
音楽伊藤宣二
録音妹尾芳三郎
照明磯野春雄
●出演者
曽宮周吉笠智衆
曽宮紀子原節子
田口まさ杉村春子
田口勝義青木放屁
服部昌一宇佐美淳也
三輪秋子三宅邦子
北川アヤ月丘夢路
小野寺譲三島雅夫
小野寺きく坪内美子
小野寺美佐子桂木洋子
林清造谷崎純
林しげ高橋とよ
「多喜川」の亭主清水一郎
※データはmovie walkerです。