2014年12月8日(月)
BOYHOOD 2014年 アメリカ
とても不思議な感じを受ける映画でした。
実際の年齢を経て成長していく兄弟と家族。
特別な事件が起こるわけでもない物語。
映画でよくあるような、「数年後」のような説明もなく、
つながったまま、いつの間にか成長していく子供たち。
それは、実世界の感覚に一番近いことかもしれません。
映画の終盤で語られるように「一瞬はとぎれない」のですから。
自分がそうであったように、小さいころは無邪気で天真爛漫。
大きくなるに従って、親を疎ましく思い、内向的になり、孤独になっていく。
それを本人の成長と並行して描いていくというのは、すごいことですね。
「北の国から」の純とほたるを思い出したりもしますが、
こちらは長い期間に渡ってスペシャルとして制作されているので、
ちょっと感じが違います。
母親(パトリシア・アークエット)が、ちょっとインテリ系で、夫が3人かわります。
でもずっと繋がっているのは、子どもたちの親であった最初の夫(イーサン・ホーク)。
やさ男系で、ちょいワル。へんなことをいろいろ教える。
これが子供たち、とくに男の子にはいいんですよね。
ハリー・ポッターの大ブームやiマック、オバマの大統領選挙、フェイスブックなど
その時々の世相が描写されていて、時代と生活がシンクロしていきます。
実父はべつの女性と結婚して、GTOはミニバンに変わっています。
そして、16歳になったらGTOをあげると言っていたことを息子メイソンは覚えていて、少し落胆する場面があります。
こういうところが、なんともニクイです。
しかもこの時、その父はビートルズのオリジナル選曲「ブラック・アルバム」を息子にプレゼントする。
ギターでの歌。
あるいはライブハウスでの付き合い。
それらと対照的に、2番目の父の酔った上での暴力。
実父の新しい奥さんの実家での、聖書やショットガンなどの大きな違和感。
暗室での先生の説教。
兵士である3番目の父への違和感。
姉はもの静かな大学生になっている。小さいときはやたらとはしゃいでいたのだけれど。
その姉の部屋で彼女と一緒に寝ているところにアジア系のルームメイトが帰ってくる場面。
書いていくときりがないのですが、一瞬はとぎれずに、まだまだ続いていくのです。
素晴らしい映画。
監督リチャード・リンクレイター
脚本リチャード・リンクレイター
プロデューサーリチャード・リンクレイター 、 ジョナサン・シェアリング 、 ジョン・スロス 、 キャスリーン・サザーランド
撮影リー・ダニエル 、 シェーン・F・ケリー
プロダクション・デザインロドニー・ベッカー
編集サンドラ・エイデアー
衣裳デザインカリ・パーキンス
●出演者
メイソンの母パトリシア・アークエット
メイソンエラー・コルトレーン
サマンサローレライ・リンクレーター
メイソンの父イーサン・ホーク
トミーイライジャ・スミス
祖母リビー・ヴィラーリ
ミンディジェイミー・ハワード
ランディアンドリュー・ヴィジャレアル
※データはmovie walkerです。