2016年5月29日(日)
神戸ワークショップシネマプロジェクト(NEOPA,fictive) 2015年
3部構成で317分。演技経験のない人たちの映画ということで迷ったけれど、素晴らしい映画体験でした。
看護師のあかり、主婦の桜子、キュレーターの芙美、離婚裁判中の純。
37歳の女性4人がみせる生活とドラマが、まるで前から知っている人のようにしみ込んできます。
神戸のケーブルカーで上に上ると、土砂降りの雨。
そんな始まりをするドラマ。
4人の微妙な距離と結婚生活。バツイチ、普通の家庭、夫との対等な二人、離婚裁判。
ワークショップ。重心を考える。
鵜飼の声が妙によくとおる。
そのあとの打ち上げでの、バツイチ話。この雰囲気。
桜子の家庭の普通さ。
姑が来ているが、険悪なわけでもない。
そして起きる息子の事件。
夫は公務員だが、ちょうど大きなイベントの仕切りで動けず、ばあちゃんと桜子が対処する。
その普通な感じ。
純と夫との決定的なすれ違い。
古いアパートでの、不毛な会話。頭から麦茶をかける純。
芙美は膜のはったような距離感で夫と付き合い、そこに作家との葛藤が入る。
あかりは、病院の医師と患者だった子供の父親との付き合いに揺れる。
音楽はほとんどかからず、人はシルエットになり表情もみえない。
それでも立ち上がってくる人のつながりと気持ち。
とても印象的な女性が二人いました。
一人は有馬温泉からのかえりのバスで話す、滝で写真をとってくれた女性。
おじいさんがよく嘘をつくんです、という彼女の不思議な存在感。
もう一人は、あかりの後輩の看護師ゆずき。
とろくて、ドジばかり踏むが、患者には好かれて、抱かれ心地が「柔らかい」。
鵜飼の妹があかりと会話するときに出てくる、「顔」。
顔には経験が刻まれるので、顔をみるという話。
この映画は役者ではないけれど、顔に経験があり、それが丁寧に重ねられた結果ということがわかります。
何かが解決するわけではない。
それでも続いていく生活、という面白さがとてもよく伝わってきました。
監督濱口竜介
脚本濱口竜介 、 野原位 、 高橋知由 、 はたのこうぼう
製作総指揮原田将 、 徳山勝巳
プロデューサー高田聡 、 岡本英之 、 野原位
撮影北川喜雄
音楽阿部海太郎
録音松野泉
照明秋山恵二郎
助監督斗内秀和 、 高野徹
●出演者
槙野あかり田中幸恵
井場桜子菊池葉月
塚本芙美三原麻衣子
吉川(日野)純川村りら
申芳夫
三浦博之
謝花喜天
柴田修平
出村弘美
坂庄基
久貝亜美
田辺泰信
渋谷采郁
福永祥子
伊藤勇一郎
殿井歩
椎橋怜奈
※データはmovie walkerです。